【デザイン礼讃】ディーター・ラムスの世界

デザイン

2020.05.29

心を大きく揺さぶられた圧倒的なデザイン。
生き方を示してくれた夢溢れるデザイン。
人と人をつないでくれた感動的なデザイン、、、
デザインと日々向き合う弊社スタッフが絶賛し崇めるデザインとは何か?
それぞれの視点とストーリーを交えご紹介致します。

大阪の空間デザイナー岡田です。

私は普段の暮らしのなかで気になるイベントや展示を見つけると、時間の許す限り足を運ぶようにしています。規模の大小に関わらず自分で見たいと感じたものを中心に、旅行を兼ねて遠方の地方を訪れる事もしばしばあります。

そんな私が今回取り上げるのは特に印象に残った、”「Less but better」ディーター・ラムスの世界 ”という京都祇園の建仁寺で行われた展覧会です。かれこれもう15年程前、2005年頃の開催だったと記憶しています。

ディーター・ラムス氏とは

ディーター・ラムスはドイツ出身のインダストリアルデザイナーでBRAUN社に在籍し、20世紀を代表する数多くのプロダクトを生み出してきました。
彼の有名な言葉で「良いデザインの10ヶ条」というものがあります。

  • 良いデザインは革新的である。
  • 良いデザインは製品を便利にする。
  • 良いデザインは美しい。
  • 良いデザインは製品をわかりやすくする。
  • 良いデザインは慎み深い。
  • 良いデザインは正直だ。
  • 良いデザインは恒久的だ。
  • 良いデザインは首尾一貫している。
  • 良いデザインは環境に配慮する。
  • 良いデザインは可能な限りデザインをしない。

私個人的には、特に最後の「良いデザインは可能な限りデザインをしない。」という言葉が衝撃的で、ひときわ深く心に残っています。

「Less but better」を体現した展覧会

通常のイベント・展覧会ならば公共のイベント会場や美術館などで行われることが多いのですが、このラムスの展示は日本最古の禅寺である建仁寺(創建1202年)で開催されました。

「Less but better」(より少なく、しかし、より良いものを。)

ラムスのデザイン哲学は、「禅」の文化に影響を受けた日本の伝統美術に見られるような、” 雑多なものを取り除き本質的なものだけを象徴的に表現する” という和の伝統美学にも共通していたので、建仁寺は非常に親和性が高い展示会場だったと言えるでしょう。

和の空間にも溶け込むデザイン

静寂な和の空間に展示される数々の代表的なプロダクト。
空間と製品が互いの魅力を引き立て合う、相乗効果のようなものを感じました。

中庭の花を眺めたり、畳の間に座り静けさのなかゆっくり休憩したり、建仁寺の持つ魅力を満喫できたところも強く印象に残った要素となりました。

ラムス氏の先見性

1976年、ラムスはニューヨークで行なったスピーチにおいて、「天然資源の不足が顕著なものとなり、それは回復不能である」「捨て続ける文明に終止符を打つこと」と発言。今でこそ問題視されているエコロジーやサスティナブル等の視点を40年以上も前から主張しており、彼がいかに先見の明があったかを伺い知ることができます。

ラムスのデザインは、後にアップルのプロダクトデザイン(ジョナサン・アイブ氏)にも影響を与えていると言われています。

色褪せる事なく愛されるラムス氏のデザイン

わたしたちの身の回りでは常に新しいモノが生み出され続け、それらはわずか数年で飽きられ廃れていきます。ラムスが提示し続けたシンプルで無駄のないデザイン、ライフスタイル、生産・消費の在り方が今もなお問われている気がします。

私の部屋にあるラムスがデザインしたBRAUN社のアラームクロックも20年以上変わらず時を刻み続けています。
良いデザインは人々に長く愛され生活のなかに溶け込んでいくものですね。

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